大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(う)2503号 判決

被告人 斎藤道夫

〔抄 録〕

所論は、客が本件現場のタクシー乗場に整列し駐車しているタクシーに乗車申込をするには先頭車から順次にこれをなすことになつているから津田の被告人に対する乗車申込は、順序を定めて整列していたタクシーの引受順序を紊した申込であつて斯る順序を紊した申込に応ずる運送は、同法条第五号にいわゆる公の秩序若しくは善良の風俗に反する運送であり、本件においては、運送の引受を拒絶するに付て正当な事由が存し、右は刑事訴訟法第三百三十五条第二項にいう法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実である旨主張するが、津田の本件乗車申込が所論の如きものでなかつたことは前段説示のとおりであるのみならず、仮にその申込が所論の如きものであつたとしても、それのみでは斯る申込に応ずる運送が直ちに前記法条第五号にいわゆる公の秩序若しくは善良の風俗に反し、その引受を拒絶するに付て正当な事由がある場合とは解せられないから、被告人は、津田文夫がタクシーの引受順序を紊して先順位車でない被告人車に乗車を申し込んだが故にその引受を拒絶した旨の主張は刑事訴訟法第三百三十五条第二項にいう法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実の主張に該当しない。

(栗田 中西孝 鰍沢)

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